患者の皆さま
ここに掲載された情報は、内視鏡下MICSを受ける予定、もしくは受けた後の患者さんと、ご家族を対象としています。
手術前の患者さんへの説明どおりに経過が進んだ事例の紹介となりますので、個々の患者さんへの本治療方法におけるリスク等につきましては、必ず患者さんの心身の状態を把握している医師にご相談ください。
ENDO-MICS.jp
内視鏡下MICS(低侵襲心臓手術)サイト
内視鏡下MICSの手術を受けた患者さんに取材をし、皆さんが経験した一連の経過について伺いました。
患者の皆さま
ここに掲載された情報は、内視鏡下MICSを受ける予定、もしくは受けた後の患者さんと、ご家族を対象としています。
手術前の患者さんへの説明どおりに経過が進んだ事例の紹介となりますので、個々の患者さんへの本治療方法におけるリスク等につきましては、必ず患者さんの心身の状態を把握している医師にご相談ください。
私は2017年6月に人間ドックで検査した際に心臓に異常があることが分かり、中程度以上の逆流が見られると診断されました。診断を受けた施設より低侵襲心臓手術を受けられる病院を紹介され、内視鏡下MICSを知りました。実際に内視鏡下MICSを受けたのが2017年8月で、担当医師の指導のもとリハビリを行い、術後13日で退院しました。
実は人間ドックを受ける前にホノルルマラソンにエントリーしていた為、キャンセルせざるを得ませんでした。心臓手術を受けてマラソンに出場できる迄に回復するか心配でした。退院した後は、担当医師の許可を得て2ヵ月後からホノルルマラソンに向けてのトレーニングを始めました。最初は30分間の歩行から、調子を見ながら1時間くらいの持続的な歩行を半年ぐらい続けました。その後もトレーニングを重ね、再度エントリーした2018年12月のホノルルマラソンに参加することができました。手術時の傷は今では殆ど目立たず、手で触ると傷跡が分かる程度です。
(2019年4月インタビュー、術後1年8ヵ月)
私が内視鏡下MICSを決意した理由は、子どもの頃からずっと患っていた僧帽弁閉鎖不全症が徐々に悪化する中で、結婚・妊娠を視野に入れていたからです。
私は20歳代後半になって結婚することになったのですが、体調が少しずつ悪くなっていたこともあり、将来子どもも欲しいと考えた時に心臓のことが心配になりました。当時看護師として勤めていた病院で心臓血管外科の先生に相談したところ、低侵襲で傷跡も目立たない手術があるということで、内視鏡下MICSが受けられる施設を紹介していただきました。
内視鏡下MICSにより弁形成するだけで治療ができると聞いた時は、開胸せずにすむこと、そして人工弁を入れる場合では、生体弁であれば後で取り換える必要があり、機械弁であればワーファリンを飲み続けないといけないと知っていましたので、その後の妊娠、子育てのことも考えてこの手術を受けたいと思いました。
実際に内視鏡下MICSを受けた直後に、カテーテルを入れた部位にできた血腫によると思われる足のしびれがありましたが、そのしびれも血腫を取ってもらう事でなくなりました。血腫の治療も含めて入院日数は2週間程度と記憶しています。
このしびれを感じたのは手術を受けた翌日のリハビリ時で、足を動かすと電気が走るような感覚で歩けませんでした。手術のためにカテーテルを入れたところに血腫ができて、それが神経を圧迫しているのではないかということで、すぐに血腫の除去手術をしていただきました。除去手術後も血腫を取った部位にリンパ液が溜まって何日か腫れが続いたのですが、こまめに注射器で抜いていただいているうちによくなりました。
退院して2~3日は念のため実家に戻りましたが、5日後には入籍し3ヵ月後には結婚式を挙げ、3年目に妊娠、出産しています。結婚式では肩を出したウエディングドレス、新婚旅行で行った海外のビーチではビキニを着ることができました。
手術の後2~3ヵ月間は、傷の痛みで普通の下着が付けらず、手を上げると突っ張るような感じが続き、動悸のために薬も飲んでいましたが、4ヵ月後には看護師の仕事に復帰することができました。手術からもうすぐ5年になりますが今では全く問題ありません。
振り返ってみると、結婚を控えた中での心臓手術について相手のご両親にどう思われるかが大変不安でしたが、結婚相手も、そのお父様も医師であったこともあり寛容に受け止めて頂けたのではと思います。妊娠中も母乳がちゃんと出るかと心配していましたが、それも問題ありませんでしたし、今では手術跡もほとんど分からなくなっています。そして何よりも、小さい頃からの運動制限がなくなり、ずっと飲んでいた薬も要らなくなって、普通に生活できるようになったことがよかったです。
もっともっとたくさんの人にも内視鏡下MICSについて知っていただきたいと思います。
(2018年8月インタビュー、術後4年8ヵ月)
私は50歳代前半の時にかかりつけの先生から心臓弁膜症と診断されました。先生との相談の中で、合併症として心臓に血栓ができてそれが脳に流れて詰まるかもしれないという説明もあり手術を受けることになったのですが、実際は自分自身がインターネットで調べた内視鏡下MICSをしてもらえる病院を選ぶことにしました。
手術を受けたのは56歳の時で、8年程前のことになります。術前の説明ではもしかしたら途中で開胸手術に変更するかもしれないと言われていましたが、予定した内視鏡下MICSとなり入院期間は12日位で済みました。
1週間後には職場に復帰しながらリハビリに通いました。心臓の状態もよくなり、リハビリが終わった後は、元のように出張で全国を飛び回りました。ただ、最初から動けたのでリハビリの効果がどのくらいあったのかは分かりません。手術時の傷は寒い時にうずく程度で、動きの不自由さや特段の痛みはありませんでした。仕事を60歳で引退した後は、スポーツジムに通ったりハイキングなどを楽しんだりしています。手術跡は、今ではほとんど分からなくなっています。
(2018年7月インタビュー、術後7年8ヵ月)
私は僧帽弁閉鎖不全症で正中切開による手術を受けることになっていました。ですが手術に対する不安から、インターネットで色々と調べている中で内視鏡下MICSのことを知りました。家族にも相談しましたが、病院が遠いのと、やはり長く行われている従来の方法の方が確実ではないかということで予定通りの手術を受けることになりました。
ところが手術1週間前になって先生が体調不良となり、結果的に内視鏡下MICSを行っている病院に紹介してもらえることになったのです。
内視鏡下MICSを受けた感想は、やはりこの手術にしてよかったということです。入院日数は8日間で、手術後6日目に退院となりました。正中切開では3週間程度の入院が必要と聞きますし、傷の大きさや痛さも全然違うと思われます。私の場合はあまり目立たない切り傷が腋(わき)の下に3ヵ所だけ、スーパー銭湯に行っても気になりません。痛みについては、手術後1~2年くらいは擦れて痛いので柔らかい下着を付けていました。
担当いただいた先生にも相談した上で、術後1ヵ月頃からウォーキングを始め、2ヵ月頃からジョギングで少しずつ時間を長くしていきました。結果的に趣味の山登りを、1年を待たずに再開することができました。
(2018年6月インタビュー、術後2年7ヵ月)
私は感染性心内膜炎で弁膜症を起こし入院後、正中切開での心臓手術をしなければならない、でも受けたくないと悩んでいました。手術を受けるなら苦痛が少なく、自分の納得のいく選択をしたいと思い、痛くない手術を探している時に、新聞で内視鏡下MICSについて知りました。インターネットで内視鏡下MICSを行っている病院を調べ、一生のことだからと先生にメールで質問もして病院を決めました。
実際に内視鏡下MICSを受けると、皮膚を切開しているので、術後すぐは痛みがありましたし、心臓の弁は治っても、時々違和感があったりします。傷痕も目立たず、手術前日に入院して8日目には退院し、入院から33日で定時退社を条件に仕事にも復帰しました。
感染性心内膜炎になってからは、スポーツジムでのトレーニングも控えていましたが、事前に説明を受けた手術後のスケジュールに概ね沿った経過であり、段々と調子も上がってきており、徐々に再開しようと考えています。そう思えるのも内視鏡下MICSで回復が早いからかもしれません。心臓手術は不安も多く、できれば回避したいと思っていましたが、信頼できる先生を選んで納得いく決断をして受けるのであれば、手術を受けた方がよいと思います。
(2018年6月インタビュー、術後6ヵ月)
私は耳鼻科医ですが、内視鏡下MICSは心臓血管外科の同級生に相談して初めて知りました。
出産後、弁膜症で不整脈の薬を飲んでいたのですが、もう1人子どもが欲しいこともあり、最初は開胸手術を検討しました。その時はリスクも大きいことからやめたのですが、その後体調不良が続き、遠方でもよければと内視鏡下MICSをやっている先生を同級生に紹介してもらったのです。先生に内視鏡下MICSの話を聞くと、傷も小さく術後の回復も早いとのことで手術を受けるハードルが下がりました。実際、傷痕は小さく、胸の開いた服や水着も着られます。
また、遠方の病院であったものの、約10日で退院できたことも子どもがいる私には大きなメリットでした。私は術後の貧血はありましたが、傷口の痛みはほとんどなく、術後3日目には病院内で洗濯もしていました。
仕事復帰はゆっくりでしたが、術後半年もすると心臓を気にせず、1日中元気に過ごすことができるようになり、これから何十年も心臓を心配せずに過ごせるということがとてもありがたいです。不整脈の薬を飲まなくてよくなり、今はもう1人の子どもを妊娠しています。
心臓手術の選択肢として、内視鏡下MICSが地方でも受けられるようになって欲しいと思います。
(2018年6月インタビュー、術後2年3ヵ月)
私は僧帽弁閉鎖不全で手術を受けることになりましたが、インターネットでは内視鏡下MICSの情報は出てこなかったので、開胸手術を受けるのかと恐怖を感じていました。
紹介された病院で初めて内視鏡下MICSという手術方法があることを知りました。それでも手術は初めてで不安でしたが、内視鏡下MICS後は、拍子抜けするほどの時間の短さと回復の早さで驚きました。
術翌日には立ち上がり、5日後には退院しました。術後は痰がからむ咳と、点滴の影響か夜の排尿が1ヵ月くらい続き、咳や笑った時の傷口の痛みはありましたが、1~2ヵ月で痛みもなくなり、仕事を休むのも1ヵ月弱ですみました。
心臓の病気=死んでしまうのではとの思いがありました。
内視鏡下MICSでの術中、万一異変があれば早急に正中切開に切り替える判断をするとのご説明がありました。信頼できる先生だったということと手術後の経過の良さを踏まえると、内視鏡下MICSを選択して良かったと思います。
甥が同じ僧帽弁閉鎖不全で手術を受けることになった時は、私の経験から内視鏡下MICSを選択肢の一つとして勧めました。まだまだ一般には知られていない、患者にとって負担の少ないこの手術が、全国どこでも選べるようになって欲しいと思います。
(2018年6月インタビュー、術後1年10ヵ月)
私は整形外科医をしており、内視鏡下MICSについては、古くからの友人である心臓外科医に病気(僧帽弁逸脱症)のことを相談して紹介されました。
医師である私でも、内視鏡下MICSについてはそれまで詳しくは知りませんでした。事前説明を受け、胸骨を切らない方法であることが分かりました。整形外科医であったので、骨を切った後の術後の回復が心配でしたので、内視鏡下MICSを選択しました。
術後はその傷口が目立たないことに驚き、痛みはあるものの手術の当日から立ち歩いていましたし、5日間の入院期間の最後の方は時間を持て余していました。
敢えてデメリットを考えると手術時間が長くなる可能性がありますが、手術を受けている本人は麻酔がかかっていて分かりません。寝起きする際やかがむ際に傷口に痛みがあったり、その後も咳やくしゃみをした時に胸がひきつる感覚は少し長く(2年程)続きましたが、仕事には術後3週間で無理なく復帰できました。
今回、私自身が内視鏡下MICSを体験し、その身体への負担の少なさ、手術後、通常の生活に戻れるまでの期間の短さを実感しました。多くの方に、選択肢のひとつとしてぜひ検討していただきたいと思います。
(2018年6月インタビュー、術後4年2ヵ月)
私の場合、手術のために紹介してもらった病院のひとつが内視鏡下MICSをやっているということで初めて知りました。
実際に心臓の手術をして1週間で退院できたことには驚きました。手術の2日後には検査のために立ち上がり、3日後には自分でトイレに行くこともできました。
痛みについては退院後2ヵ月間程度は痛み止めを飲んでいましたが、洗濯物を干したりシャンプーのポンプを押す時など腕に力を入れるとズキンと激痛が走る事がありましたが、それ以外は問題なく生活できました。車の運転も退院した翌日からしていました。
しびれる感じがしばらく残りましたが、それも2ヵ月後にはコンビニで仕事を始めて忙しくなったことで忘れてしまいました。
先生からはワーファリンという薬を飲んでいる間は納豆とほうれん草は食べないように言われました。風邪をひいて紹介元の病院に行った時、先生が私が手術を受けたことに気が付かれないくらいで、傷口を見せると驚いておられました。鏡で見ても傷口が目立たないということは嬉しいです。
母と温泉に行った時には、何も考えずに人の目も気にせず温泉に入れたことは、とても大きいです。改めて振り返ってみて、特に女性にとっては傷口が目立たないというのは本当にありがたいことだと思っています。
(2018年6月インタビュー、術後1年1ヵ月)